接頭辞は、多くの場合、意味を変えます。接頭辞には本来語につくものとラテンギリシャ語につくものに分けられますが、フランス語を経由したラテン系の単語は、一般に本来語と同じ扱いを受けます。ここでは基本的なものだけを取り上げますが、辞書や参考書で十分研究してください。あなたの英単語が増えるかどうかを左右する最大の鍵の一つです。お薦めはロングマン現代英語辞典に収録の
Word Beginnings です。
un- は名詞・形容詞・副詞について、強い否定を表わし、単純な否定の non- とは、unchristian
: nonchristian の違いがあります。動詞につくと、「反対の動作、もとに戻す」の意味を加えます。tie : untie
という単純なもので意味取りの失敗はありません。
a- は前置詞 on の変化で、名詞について形容詞や副詞・前置詞を作りますが、これのついた形容詞には前置詞句の名残りがあって、名詞の前に立ちません。変わった例には
alone があって、all + one「全部で一つ」から「孤独な」の意味ですが、across, along などの a-
と同様に解釈されて、lone という形容詞が作られました。
be- は「〜にする、すっかりと」の意味の他、前置詞 by で理解できるものがあります。belittle「見くびる」、because「〜だから」の違いに注意しましょう。
for- は「すっかり」の他、「禁止・除外・破壊」などの意味を加えます。forgive「許す」は「全てを与える」ですが、forget
はどう描いたらいいんでしょうか?
子音で終わる接頭辞の最後の子音が、次に来る語根の発音の影響で発音と形を変えて、同じ発音傾向になったものです。とは言え、例えば
i, e の前の c の発音が後に s に変わっても、接頭辞の c 発音はそのままということが起こり、音韻同化だけでは説明しきれない場合もあります。ここでは接頭辞としての原形と変化した形を示して、どういう環境でそうなるかの説明は、特に必要なものだけに止めます。
ab- : ab-, abs- (c, t の前), a- (m, p, b の前) の形で、「〜から、離れて」などの意味を加えます。
ad- : ac-, ad-, af-, ag-, al-, an-, ap-, ar-, as-, at-
の形で、「〜のほうへ、向かって、ついて、近く」などの意味を加えます。
an- : a- (c, t の前), an- (母音と h の前) の形で、ギリシャ語系の語根について「〜でない、なしで」と否定の意味を加えます。
com- : co- (母音と h の前), col-, com-, con-, cor- の形で、「共に、そろって、すっかり、完全に」などの意味を加えます。
dis- : di-, dif, dis- の形で、「不、非、反対、〜でない、離れて、悪いほうに、取り去る」などの意味を加え、否定的な意味の語では強意を表わします。
ex- : e-, ec- (ギリシャ語系の語根の子音の前), ef-, ex- の形で、「外へ、〜なしに、全く」などの意味を加え、否定的な意味の語では強意を表わします。
ex- には「以前の、前〜」の意味で自由につけられる用法もありますが、この場合はハイフンをつけます。
in- : il-, im-, in-, ir- の形で、「不、無、非」などの否定の意味を加えます。本来の
un- に対応し、ラテン語系であってもフランス語などを経由し、ラテン語らしさを失った単語には un- が使われます。
in- : il-, im-, in-, ir- の形で、「中に、〜に向かって、〜に逆らって」などの意味を加えます。本来語につくときは常に
in- です。en-, em- のもとの形で、enclose, inclose のように両方の形のあるものもあります。
ob- : o- (m の前), ob-, oc-, of-, og-, op-, os- (t の前) の形で、「反対、妨害、抵抗、抑圧」などの意味を加えるほか、強意のこともあります。
per- : pel-, per- の形で、「完全に、非常に、〜につき」などの意味を加えます。
sub- : sub-, suc-, suf-, sug-, sum-, sup-, sur-, su (sp
の前) の形で、「完全に、非常に、〜につき」などの意味を加えます。
syn- : sym-, syn-, sy- (s の前) の形でギリシャ語系の語根について、「共に、同時に、似た」などの意味を加えます。